焚き火のたしなみ

これから始められる方へ

キャンプの目的として「焚き火を楽しむため」という方もかなり多いかと思います。それだけ焚き火には人を惹きつける魅力があり、人を癒す力があるのではないでしょうか。

最先端の自動車を販売しているテスラ社の車のタッチスクリーンで「ロマンスモード」を選ぶと、画面に“バーチャル暖炉”が映し出され、パチパチと燃える薪の映像が流れます。
最先端のものに採用される昔からあるものには、間違いなく価値があるのだと思います。

多くの人を惹きつける焚き火をこれから始められる方のために、焚き火の楽しみ方や必要な道具、手順をご紹介します。

焚き火の楽しみ方

焚き火にはさまざまな楽しみ方があります。

マシュマロを焚き火であぶる マシュマロを焚き火であぶる

・スモア(マシュマロを焚き火であぶって、溶けかけたところでチョコと合わせ、クラッカーで挟んだもの)を作り、少し苦めのコーヒーでいただく。

・ナイフでバドニング(ナイフを使った薪割り)やフェザースティック(木を薄く削っていき、先端を羽毛のようにした着火材)を作って、メタルマッチで着火。着火までの手間を楽しむ。

・ダッチオーブンやスキレットで直火料理。煮込み料理やハンバーグ・ステーキが別物の美味しさに。

・焚き火ロースターを使って、コーヒーの生豆を熾火(おきび)にかざして焙煎し、焚き火で湯を沸かし、手作りコーヒーを楽しむ。

・炎を見つめながら、子どもたちやパートナーと普段なかなかできない話をする。

・ただただ炎を眺め、薪をくべ、自分と向き合う時間を過ごす。

これらはまだまだ一例です。いろいろ試してあなたに合った楽しみ方を見つけてみるのも面白いかもしれません。

必要な道具

焚き火をやる際に最低限必要な道具をご紹介します。

01Bonfire

焚き火台

焚き火台 焚き火台

近年、キャンプ場であっても「直火(地面で直接火を焚くこと)」を禁止しているところが多く、焚き火を楽しむためには、「焚き火台」という道具が必要です。
焚き火台にはさまざまな種類があり、焚き火を囲う人数や、目的(調理をするか、しないかなど)などで、自分の使い方にあった焚き火台を選ぶことが大切です。

02Ignition tool

着火道具

着火道具 着火道具

着火道具にもさまざまあります。
着火剤を使ってターボライターやガストーチなどで簡単に火を付けても良いですし、メタルマッチや火打ち石を使って、少しワイルドに火を起こしてみても楽しいです。
骨は折れますが、弓切り式などの原始的な火起こしも たまにはいいかもしれません。
子どもと一緒に虫眼鏡やメガネのレンズに水滴を垂らし、太陽の光を収れんして火を付けてみるのも面白いかもしれません。

03Firewood

薪は大きく「針葉樹薪」と「広葉樹薪」があります。

薪の種類 薪の種類
「針葉樹薪」

針葉樹薪は油分を多く含んでいるものが多く、火付きが良く、よく燃えます。ですが、煤(すす)や煙も出やすく、密度が低く軽いため燃え尽きるのも早いので、 長時間楽しむ焚き火には向きません。
調理などで早く熾火(おきび)を作りたいときや、早く暖をとりたいとき、着火時の焚き付け材などの使用に向いています。

「広葉樹薪」

広葉樹薪は密度が高く重いので、火は付きにくいですが火持ちは良く、長く燃えるので、焚き火や薪ストーブなどに向いています。
時間があり、ゆっくり調理する場合には熾(おき)の状態が長く続くので、調理としても使えます。
煤(すす)や煙も少ないので、調理器具を直火にかけても器具が真っ黒になりづらいことも特徴です。

いずれの薪もよく乾いていること(含水率15%~20%くらい)が大切です。 乾燥が不十分ですと、煙や一酸化炭素、煤などが多く出たり、火が付きにくかったり、「パン!」と大きな音を立てて爆ぜたりして扱いづらい薪となってしまいます。

04Crater

火口(ほくち)

火口とは、火を最初に着火させる燃えやすいもののことです。火口となるものにはさまざまなものがあります。

火口 火口

・ほぐした麻ひも
・枯れて乾燥したスギの葉
・おがくず
・チャークロス(綿の布を炭にしたもの)
・シラカバなどのカバノキの乾いた樹皮
・乾燥した枯葉や干し草
・ティッシュペーパー  ・・・etc.

火打ち石やメタルマッチを使う場合は必ず必要となります。ガストーチなどで火をつける場合は、なくても大丈夫です。
その他にも、焚き火を安全に楽しむため、革手袋や火ばさみなどがあると良いと思います。

焚き火の手順

道具が用意できたらいよいよ焚き火の実践です。ここでは一般的な焚き火の手順をご紹介します。
キャンプ場などの焚き火が出来る場所で、安全に配慮しながら楽しい時間をお過ごしください。

01:焚き火台を設置する

焚き火台を組み立て、できるだけ平らな地面に設置します。
傾いていたり、グラグラと不安定な状態だと、薪をくべた時や燃えている薪が崩れた時などに焚き火台が倒れる危険があります。
隣の区画の方に煙や火の粉が飛ばないように設置場所の配慮も必要です。
また、焚き火台の周囲に燃えやすいもの(枯れ葉や枯草など)がないか、風の強さと向きなども確認して問題がありそうな場合は対処しましょう。

対処の例

落ち葉をどかす、片付ける。または焚き火シートなど燃えにくい布を焚き火台の下に敷く。枯草やテントなどが風下にある場合は、風向きや風の強さを考えて焚き火台を移動する。など

02:火口や着火剤等の配置

現地で調達したり、事前に用意しておいた火口や着火剤を焚き火台の中心に置きます。

03:焚き付け材と小割の薪を組む

用意した火口(ほくち)や着火剤の上に、良く乾いた小枝や細く割った焚き付け材を7~8本組みます。さらに小割の細い薪を6本程度組みます。この時、空気がよく通るように適度な隙間を開け、できるだけ薪同士が同じ方向に重ならないようにします。

04:点火

火口または着火剤にライターやマッチなどで点火します。ターボライターやガストーチがあるとより簡単に点火できます。点火の際、複数箇所から点火するとまんべんなく火が回るので、おすすめです。

05:待つ

着いたばかりの火は不安定なので、火が安定するまで少し待ちます。 火が弱くなってきたからと焚き付け材や小割の細い薪を動かすと、更に火が弱まり消えてしまうことがよくあります。 焦らずにじっくり育てましょう。

06:大き目の薪を2本ほどくべる

しっかり火が着き安定してきたら、少し大きめの薪を2本ほどくべていきます。 この時も薪同士が同じ方向に重ならないようにくべます。大き目の薪に火が移ったら、もう大丈夫です。