いまのわたしたちができること

わたしたちの想い

適正に管理された森林は、人間や動物たちに食・住などの重要な生態系サービスを提供するとともに、公益的機能により、さまざまな恩恵をもたらします。

森林が持つ機能(一部抜粋)

しかしながら、このような森林による生命に対する極めて重要な貢献があるにも関わらず、 私たち人間は多くの地域で持続可能でない行為によって森林減少や森林劣化を意図せず進めており、 その代償として本来森林が持つさまざまな公益的機能を発揮する力を奪っています。
近年の頻発する大災害や環境の変化を目の当たりにしている今、もはやこの状態を誰もが看過することはできません。

「このまま何もせず、私たちの子や孫たちに負の遺産を残したくない。」

私たちだけでなく、子を持つ親の多くはこのような想いを持っています。
だから私たちは、いま自分たちができることを真剣に考え、行動に移そうと考えました。

わたしたちの活動

放置された森を豊かな森に変え、これを持続していくためには、木を切って売るだけでは採算がとれない林業を、 林業事業者が主体となって採算が取れる事業にしていかなければなりません。
森の恵みやエネルギーを無駄なく活用する方法を自ら考え、それにより生まれた収益が地域創生や環境問題の解決に向けた森林整備の原資となり、 循環・持続していくことを目指すべきだと私たちは考えました。
そのための具体的活動の実績の一部と、これからの活動をご紹介します。

具体的活動実績:小水力発電所建設

私たちは、先代から何十年もかけて山の手入れを行い、森の持つさまざまな機能を向上させてきました。
結果、その山を水源とする川は長い時間をかけて水がきれいになり、流量も安定するようになりました。
このきれいな水が安定した流量で流れくだる様子を見た時、このエネルギーを利用して水力発電所をつくれば、 発電で得られる収入で再び森の手入れをすることができ、さらに多くの森を再生できるのではないか。
そして、豊かな森からもたらされる便益を、現在及び将来世代に提供する、持続可能な循環型の仕組みをつくれるのではないか。
そのようなビジョンを考えるようになりました。

こうして、小水力発電を導入し、地域のエネルギーを地域で循環させ、そこで生まれた収益が地域創生や環境問題の解決に向けた森林整備の原資となり、 循環・持続していくことを目指す「豊かな森構想」の活動が始まりました。
まずは構想から10年余りを経て、「柴平近江谷地小水力発電所」を2019年11月に完成させ、発電・売電を開始しました。

これからの活動:木商品販売事業

2020年は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、世の中が大きく変わりました。
さまざまな業種が大きな影響を受けています。林業も住宅着工戸数が減り、木材が出荷できない状態になっています。
個人に目を向けても、外出が規制され、規制が解除されてもなかなか今まで通りには遊びに出られなくなってしまいました。
しかしながら、循環させ、持続させていくためには、現状を嘆くのではなく、知恵を絞り、改善すべきところは改善し、たゆまず動いていかなければなりません。

自社林・管理林の手入れで出た間伐材や伐期を迎え切り出した木を無駄なく活用するためには、販売先のない木材に価値を付け、新たな販路を開拓する必要があります。
そして、価値をつけた木材により「仕方なく巣ごもりする」ではなく、「家が楽しいから巣ごもりする」という価値観に変えていきたいと考えています。
そのために始めたのが、薪などの木材を活用した商品を販売するこの木商品販売事業なのです。

森の恵みを有難くいただき、そこから収益を得て、きちんと整備することで返していく。
ただ単にご支援をいただくのではなく、価値ある商品をご購入いただくことで豊かさを手に入れてもらい、結果的に購入していただいた方が地域創生や環境問題の解決に向けた支援をしたことになる。

そういう取り組みとなるように、私たちは日々奮闘しております。
そして、私たちの想いや活動に共感していただける多くの方々の応援が力になっております。

わたしたちが大切にしている考え方

私たちが事業を行う際、普段から大切にしている考え方があります。
二宮尊徳の教えを元にした「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は夢物語である」というものです。
世や人を欺き、お金を儲けるために何でもやることは罪悪を生み出すものであり、すべきでない。
しかし一方で、どんなに世のため人のためになることであっても、収益が伴わなければ実現できなかったり、実現できたとしても続かない。
それでは結局世のため人のためにならない夢物語であり、ことを為さないということです。

多くの地域創生や環境問題への取り組みは、理念や思想が先行して、収益を上げて実現・継続していくという考えや行動が脇に置かれていたように思います。
「世のため人のためと言いながら金儲けするのか」というレッテルを周囲から貼られることを恐れ、収益を上げることに及び腰になってしまうからです。
しかしながら、理念を持って利益を出すこと、つまり、「道徳なき経済」や「経済なき道徳」などの両極端ではなく、バランスをとり、お互いを補い合う「道徳ある経済(経済ある道徳)」が実現性と持続性を生むと思うのです。

だから私たちは理念だけではなく、事業収益化の方法を必死に考え、得られた収益をどう使うかを明確にし、さまざまな場所や場面で発信してきました。
結果、やはり一部の人からは金儲けが目的だと言われましたが、それよりもはるかに多い人たちから共感をいただいたのです。
収益を得ることは目的ではなく手段であり、目的は「森がもたらすさまざまな便益を現在及び将来世代に提供すること」なのだと多くの方たちにご理解いただけたからだと思います。

わたしたちはこれからもこの考え方を大切にして、木商品販売事業を育ててまいります。